ホールに入ってくるなり浴びせられた怒鳴り声。


そう言えば……誰かが戦うなら最後にしろって言ったかもしれない。


そんな武司に肩を借りて、血塗れの小川君が息も絶え絶えに歩いてくる。


「赤い人」にしがみつかれて血塗れなのかと思ったら……左腕の肘から先がなくなっている。


こんなになってまで、時間を稼いでくれたのかと思うと申し訳ない。


「お、小川君、大丈夫!? ありがとうね、小川君のおかげでカラダを納められたよ!」


「へへ……いいんだ。これで終わると思ったらたいした事ないよ。さっきから痛みも感じないしね」


終了処理が終わったからだろうか。


だとしたらよかった。


終わってもまだその痛みを感じるなら、小川君には地獄のような苦しみだろうから。


「俺を無視してんじゃねえぞコラ!!」


怒り狂う武司をなんとかなだめて、怪我をしている小川君を長椅子に座らせて、何が起こったのかを話していた。


遥が日菜子を殺した事に対して、顔色ひとつ変えもせず武司は話を聞いて、口を開いた。


「んなもん、俺達がどうこう言う事じゃねえよ。こいつらの問題だろ。それよりも気になる事があんだけどよ」


今の話に何かわからない事でもあったかな?


できるだけ丁寧に話したつもりだったんだけど。