ザザッ……トントン。
生徒玄関の方に身体を向けて、虚ろな瞳でうつむいている。
手には包丁……いつか、健司が私を刺した物に似ている……。
『カラダが……集まりました。皆さん、ありがとうご……た』
何か……嫌な予感がする。
皆一緒に頑張っていて、護身用の武器なんて必要ないはずなのに。
『カラダが揃……今から終了処理を……』
奇妙な遥の立ち姿に違和感を覚えた私は、携帯電話を開いて遥を照らしだした。
涙を流す遥の横顔……血が付着した包丁。
そして、その視線の先には……。
『香山日菜子、死亡……消去します』
日菜子が……倒れていたのだ。
心臓をひと突きされたのだろう。
胸もとが赤く染まっている。