そう考えて、西棟へと続く渡り廊下の方に顔を向けた時……私はその奥に見える人影に気づいた。
緑の光で、その像がくっきりと浮かび上がっていて……太っていない。
と、なると……あれは武司だ。
よかった、立ち上がって「カラダ探し」をする気になってくれたんだね。
どこに隠れていたかわからないけど、その立ち姿は私にとっては頼もしい限りだった。
「武司……何してたのよ。心配したんだからね」
遥と私しか生き残っていないと思っていたから、うれしくなって小走りで武司に駆けよる。
まだ、走れるほど回復しているわけじゃないからそれが精一杯。
どこに行こうか迷っているような様子で、西棟と大職員室前の廊下を見ている。
私の声が届いていないのか、無反応の武司に近づき、ポンと背中を叩いてみると……。
ピチャッ。
手に、濡れているような感覚があったのだ。
え? 何……これ。
指と指をこすりあわせてみると、ヌルヌルとしたものが、次第に乾いて粉のようなものに変化する。
この感覚はもしかして……血?
頭上にある避難口通路誘導灯の光に手をかざしてみると……赤い。