不思議に思ったけど、それは後で考えればいい。
今はこのカラダを棺桶に納める!
その一心でたどり着いた棺桶。
ハァハァと息を切らしながら、私はゆっくりと最後のカラダを、棺桶の隙間に入れた。
幸恵のカラダがすべて揃った。
右胸の断面がつながり、ひとりの人間のあるべき姿へと戻っていく。
……終わった。
安堵の吐息を漏らし、視界の端に映った「赤い人」に顔を向けた。
棺桶の足元に立ち、何事もなかったかのように立っている「赤い人」。
「カラダ探し」が終わった今、振り返っても殺されないし、襲ってくる事もない。
ただの真っ赤な女の子。
そう……思って眺めていたら、その背後、ホールの西側の入口に、誰かの影。
髪の長い、スカートをはいたその人影は、ここからでは誰だかわからない。
「日菜子? それとも遥なの? もう、いるのなら返事くらいしてよ!」
人形のように固まる「赤い人」を避けて、その人影に近づいてみると……立っていたのは遥だった。