「日菜子! 私がカラダをホールの二階から落とすから、下で受け取って!」


「わかった……待ってるからね」


何だか、前の「カラダ探し」を思い出す。


あの時は私がホールにいたけど、今回は私が最後のパスをする側だ。




「キャハハハハハハッ!!」




「赤い人」が醜悪な笑みを浮かべて私達に迫る。


前に出た小川君が、そんな「赤い人」にぶつかる勢いで走りだした。


そして……接触したと思われた時、「赤い人」が小川君の大きな腹部に腕を回してすばやく背後に回り込んだのだ。


「日菜子、行くよ!」


「うん!」


小川君にしがみついた。


それを確認して駆けだした私達は、小川君と「赤い人」の横を通り過ぎて西棟に入った。



「あ~かい ふ~くをくださいな~」



歌が唄われ始めて、カウントダウンが始まった気分だ。


日菜子は階段に、私は私達の教室に向かう。


「小川君! 待っててね!」


そう言い、私は教室の中に入った。


教室の中、幸恵の机の上に鎮座する最後のカラダ、右胸。


それに駆けより、手に取った私はすぐに教室の入口へと走った。