上手く気持ちの切り替えができないままだったけど、この準備室を調べ終わる事ができた。
でも、調べる場所が多い工業棟の二階。
ひとりで調べるのは骨が折れる。
それもこれも、全部私のせいなんだ。
私がカラダを持ったまま死にさえしなければよかったんだ。
その想いに包まれながら、次の教室に移動を開始しようとした時。
生産棟の方から、遥の声が聞こえたのだ。
「見つけたよ! もう探さなくていいから……誰か右胸を回収してホールに向かって!!」
その言葉は、今の私には何よりうれしいものだった。
頭のてっぺんから、スーッと冷たい感覚が下りてきて、安心感で涙が溢れてくる。
一階にいるふたりは聞こえたのかな。
私が伝えないといけないよね。
「ひ、日菜子! 小川君! カラダが見つかったよ!! ホールに行くよ!!」
廊下で方向転換をした私は、震える声を押し出した。
ここからが本当に気をつけなければならない。
今の声、「赤い人」にも聞こえたと考えるべきだ。
遥には「カラダ探し」が終わっても手伝ってほしい事があるから、死んでほしくはない。