こうしている間にも、1、2部屋調べる事ができるかもしれないし、校内放送が流れて、目的地に「赤い人」が現れるかもしれないから。
『赤い……生産棟二階に……れました。皆……さい』
しばらくして校内放送が流れて、私達は落胆の吐息を漏らした。
元々どこにいたかはわからない。
だけど、まさか生産棟の二階だなんて。
しかも……。
「髪の毛も足もまっかっか~」
歌声が、小さな声ではあるけれど聞こえたのだ。
「おい、どうすんだよこれ。動けねえぞ」
かろうじて聞き取れるかどうかと言うほどの小さな声で、武司がささやく。
予想していなかった……なんて、言ってられない。
どこにいるかもわからなかったのだから、どこに現れてもおかしくないのだから。