一番近くにあるロッカーを調べて、室内を見渡して、何もないと早々に感じた私は、大きな溜め息を吐いた。


他の皆ももう調べ終わる頃だろうな。


生徒玄関に集まって、誰かひとりでも「カラダを見つけた」って言ってくれればそれで終わる。


そんな事を考えていると、教室の前の入口から誰かが入ってきた。







「誰!?」









かすかな足音に反応した私が照明を向けると……そこにはかがんで移動する中島君の姿。


「お、俺だよ、森崎さん。どう? カラダはあった?」


少し怯えたような様子で、私を見上げて尋ねた。


「中島君か……うん、右胸は見つかったけど、肝心の左胸がね。他の誰かが見つけてくれてるといいんだけど」


中島君と合流できたという事は、二階はもう調べ終わったという事。


集合場所の生徒玄関に行くのが次の目標だ。


「じゃ、じゃあ生徒玄関に行こう。皆に話を聞かないと」


「そうだね。放送室の幸恵に見つからないようにね。見つかったら、とんでもない事になっちゃうから」


教室のドアを全部開けてから移動するという作戦は上手くいったかな。


それともただ、幸恵が放送室から見ていないだけなのか。


見られている可能性があるなら、それを確認する事もできないよ。