どこに現れたかもわからない、無意味な校内放送。


だけど、今の私達には関係がない。


でも、死んでしまって、この「カラダ探し」の間に得た情報を失ってしまうのは嫌だな。


今日で終わらせるなら、私は絶対に死ぬ事ができないんだ。


廊下の物音に耳を傾けながら、私はそっとロッカーへと向かった。


「赤い人」の歌声は聞こえない。


これならたぶん大丈夫だろう。


ロッカーを開けて、中を確認してみても何もない。


確率から言って、ある確率の方が低いんだけど、毎回少しガッカリするな。


ここにないとなると、次に調べるのは階段の向こうの教室だ。


私達の教室……そう言ってしまうと、何か特別感が出て、そこにあるんじゃないかと思ってしまう。


物音を聞きながら廊下に飛び出した私は、放送室から見られないようにと、身をかがめて移動を開始した。


中島君の姿は廊下にはない。


きっとどこかの教室かトイレにでも入っているのだろう。


今日は誰も「赤い人」にも、幸恵にも見つかってほしくないな。