「おいゴミクズ、手ぇ抜くんじゃねえぞ? もしもテメェが調べた場所にカラダが残ってたら……わかってんだろうな?」


「わかってる……頑張るよ」


もうすっかり中島君はおとなしくなって、武司の顔色をうかがうようになっている。


これが本来の姿なんだけどね。


今か今かとドアが開くのを待っていた私達の目の前で、キィィという軋んだような音を立ててドアが開く。


「日菜子、中島君、行きなさい! ドアを開けたら、放送室から見られないように移動しなさい!」


わずかに開いた隙間、遥の号令と共に駆けだした日菜子と中島君。


「じゃあ俺は東棟から行くぜ。化け物が現れても、しばらくはノータッチだからせいぜい頑張れや」


そう言い、武司は生徒玄関の中に入っていった。


「さて、残るは私達ね。私と小川君で一階、明日香は二階でいい?」


その組み合わせに反対する理由がない。


誰がどこを調べても同じだと思うしね。


「僕はそれでいいよ。太ってるから、階段を上らなくてすむのはありがたいし」


なんて自虐的な冗談を飛ばしつつ、小川君は開いたドアを通って中に入っていった。


それに続いて中に入った私と遥。


今日で終わらせるという意気込みが伝わってくる。


校内放送が流れる前に持ち場に着くべきか、それとも待つべきか。