冷たい風に冷たい地面。


異様な雰囲気が漂う生徒玄関の前で黒い空を仰ぎ、私は悲しくなってまた涙を流した。


「今日」が終わった。


この「カラダ探し」は、別の「今日」に向かう通り道なんだと無意識に感じて。


「皆、起きなさい。今から今日の作戦を言うわ」


涙を拭う私の隣で、立ち上がってさっそく声を出す遥。


「生徒玄関が開いたら、日菜子は西棟一階の教室のドアを、中島君は西棟の二階のドアを開けながら、一番南側まで行ってちょうだい。袴田君は図書室と大職員室を調べる。残った人で、中島君と日菜子とは反対側から調べていくから。合流したら生徒玄関に集まって。ただし、カラダが見つかっても動かさない事。いいわね?」


誰にも文句は言わせない。


提案ではなく、命令するように言う遥に、反論する者はいなかった。


武司には朝のうちに言っておいたから、退屈そうにあくびをしているだけ。


「わかったけど、生徒玄関に集まって次の事を話し合うの?」


気まずい関係だった日菜子が、目をこすりながら遥に尋ねる。


あれ? そう言えば遥が日菜子を名前で呼ぶようになってる。


仲直りどころか、もっと仲良くなったのかな。


「そうよ。もしもカラダがふたつ見つからなかったら、工業棟と生産棟をもう一度調べなきゃならないから」