呼吸が荒くなっているのがわかる。


クラスでは乱暴者と言われて、先生からも目をつけられている高広は、そこからは想像もつかないほど純情で。










震える手で私を抱きしめた後、そっと唇を重ねた。










初めてのキス。


その衝撃が全身を駆け巡り、身体が私の物じゃないみたいにドクンドクンと脈打っているのがわかる。


こうなってうれしいはずなのに……なぜか私の目からは、涙がこぼれ落ちた。


どうしてだろう。


まだ付き合ってもいないのにキスしたからかな?


それとも、脇腹の痛みで泣いているのかな?


しばらく唇を重ねて、それに気づいた高広が慌てて飛びのいた。


「あ、明日香……その……ゴメン」


悲しそうな声で、私が泣いている事にショックを受けたような様子で。


私はどうして泣いているんだろう。


キスした事はうれしくて、いっそ最後までいっても拒否できないなと思っていたのに。


「違う……違うの。高広は悪くないよ。悪いのは……私なんだ」


「明日香は悪くないだろ……怒ったなら、俺を殴ってくれてもいい! 今日だけで気が晴れないなら、明日も明後日もさ!」