ペタペタという足音が、教室の真ん中の通路を歩いているという事を教えてくれる。
見つかるわけにはいかない……。
わずかな呼吸音でさえ、「赤い人」には聞こえてしまいそうで、息もできない。
息を止めていれば大丈夫かと思ったけど、背後に感じる禍々しい気配が、私の頬をゾワゾワとなでているようで。
まだ10秒も止めているわけではないのに、恐怖で胸が苦しくて、これ以上は我慢ができない。
この音でさえ聞こえるかどうかわからないけれど、耐えきれなくなった私は口を開けて、震えながら息を吸った。
「お顔もお手ても……」
そこでピタリと止まる「赤い人」の歌。
まずい……私でさえ聞こえない呼吸音を、「赤い人」は拾ったと言うの!?
怖い……怖いよ。
一度「カラダ探し」をやっているからって、「赤い人」に慣れたわけじゃない。
ちょっとでも隙を見せれば、一瞬で命を奪い去ってしまう。
それが「赤い人」。
「……まっかっか~」