恥ずかしいけど、高広におんぶしてもらって武司の家を出た。


頑張って歩くって言ったのに、無理するなって。


「でもよ、本当にどうして武司の家にいたんだ? わけわかんねえよ」


どうして俺の所じゃなくて武司の所にいたのかと言いたいのだろう。


背中越しにでも、ムスッとしている表情が想像できるよ。


「うん……武司と一緒に『カラダ探し』をしているから、武司の方がいいかなって思って。ゴメンね」


何に対してゴメンなのか、自分でもわからないけど、高広がすねているように思えたから。


「別に俺でもいいだろ。武司を頼るくらいなら、俺を頼れっての。何があっても、お前を守ってやるからよ」


自分で言っていて恥ずかしかったのか、片手を私の脚から離して、ポリポリと頬をかく。


「うん……でも、高広が今まで頑張っていたのは知ってるから。あんまり迷惑をかけられないって思ったんだけど……」


そんな気遣いでさえ、余計な事だったんだろうな。


「思うな、んな事。それより、このまま家に帰れんのか?その……お前がこんなだったら、おばさんが心配するんじゃねぇの?」


声が上ずっているよ。


それを言うのに、勇気を振り絞ったんだろうな。


そんな高広がおかしくて、私はクスッと笑った。


「じゃあ……高広の家でちょっと休ませてもらおうかな」