「明日香!? 何があったんだ……おいコラ武司ぃぃっ!! テメェ明日香に何したぁぁっ!!」
部屋に入るなり、私に駆け寄って、怒鳴り散らす高広。
「昨日」が変わって、高広が少しおとなしくなったと感じても、私を心配してくれるのは同じだ。
「そいつが階段ですっ転んで脇腹打っただけだ。俺は何もしてねえよ。何かしたって決めつけてんじゃねえ。いつまでもそこにいられると邪魔だからよ、早く連れて帰れ」
シッシッと、邪魔者扱いで私と高広を追い払おうとする武司。
「なんで明日香がここにいるんだよ。それがおかしいだろうが! 説明しやがれ!」
「んなもん知るか。勝手に家に来て、勝手に階段で転んで、休ませてやってるだけでもありがたいと思え」
興奮する高広と、冷静に流す武司。
いつもとは違って、ふたりの立場が逆転している。
「ああ、そうかよ。明日香、帰るぞ。立てるか?」
支えてもらえばなんとか……ひとりではまだ辛いけど。
高広の姿を見て、安心したのかな。
頑張ればひとりでも立てるとは思うけど、優しいからそれに甘えたくなる。