「ねえ明日香……私のカラダを探して」
それだけ言って、幸恵は階段を這って上がると、二階にいる武司の部屋へと向かっていった。
脇腹を打って、息もできない私の耳に幸恵の声が聞こえたのは、ドアが開いた音がした直後だった。
「ねえ袴田君、私のカラダを探して」
しばらく、沈黙が訪れた。
と言っても、時間にしてほんの数十秒だろうけど。
やっと呼吸ができるようになった私は、幸恵が身体の上を這っていった体勢そのままに、細かく呼吸をする事しかできなかった。
「明日香コラァァァッ!! テメェ、何余計なものまで連れてきて……」
あの幸恵の姿に驚いたのか、怒りを撒き散らしながら部屋を飛び出してくる武司。
だけど、その怒りの声は途中で止まって、私のそばで立ち止まっている。
「ゴ、ゴメ……変なとこ打って……息が……」
しゃべるとなると大変な作業だ。
こんなに声を出すのが辛いなんて思わなかった。
「ずいぶんセクシーな格好だな、お前は俺を誘ってんのか?」