ドアを閉めて室内を見回してみると、隠れられるような場所は大きな机の陰くらい。
それでも、ドアの前にいるよりは何倍もマシだ。
6つ並んだ畳ひとつ分くらいの机の窓側に、身を低くして隠れた時、廊下に飛び出したあの笑い声。
「キャハハハハハッ!!」
それは、日菜子が殺されてしまった事を意味していた。
「アアアア……」
私達を見失って迷っているのだろう。
「赤い人」は唸り声を上げて、私達がどこに隠れているかを考えているように聞こえる。
それにしても、日菜子はいつ赤い人を?
私とずっと一緒にいたはずだから、日菜子だけでなく、私にも見る可能性はあったという事だけど……。
「あ~かい ふ~くをくださいな~」
「赤い人」の唸り声が、歌に変わった。
私達を見失って、諦めたのだろうか?
このまま……この教室を通り過ぎてくれれば。
そう祈っていると……。
「し~ろい ふ~くもあかくする~」
バンッ!と、激しい音と共に開けられたドア。
さらに大きくなった「赤い人」の歌声が、教室の中に響き渡った。
どうして私が隠れている場所に来るのよ!
何か痕跡でも残した!?
「まっかにまっかにそめあげて~」