昔は、夜道が怖くてひとりでは歩けなかったけど、今は「カラダ探し」をしているからそれほどでもない。
夜道なんかよりも、もっと怖い所にいるんだから。
高広もいないのに、私だけで武司の家に行こうとしている事が、今日の私がちょっとおかしいのだという事を証明していた。
いつもの私なら、武司の家にひとりで行こうなんて思わない。
別に武司に会いたいわけじゃない。
一緒にいてくれるなら、遥だって日菜子だって構わない。
だけど、私の家から一番近いのは武司の家なのだ。
会いたいだけなら……高広と一緒にいたいけどさ。
なんて、何を言ってるんだろ。
「呪い」を解いたら答えを出す、とか言ったけどさ、本当はもう答えは出てるんだよ。
ただ、もしも高広と付き合って、「呪い」を解く事が怖くなったらどうしようって思うと、今はまだ言えない。
すべてが終わってから。
そうじゃないと、答えを出してはいけないような気がする。
武司の家が見えてきて、ホッと安堵の吐息を漏らした時だった。
タッタッタ……と、背後から誰かの足音が聞こえたのだ。
誰かがジョギングでもしてるのかなと、チラリと振り返って見てみると……。