「ただいまー」
家に帰ると、お母さんがキッチンにいて、今日の晩ご飯は何にしようと頭を悩ませていた。
温かい晩ご飯が食べたいけど……せっかく作ってくれたお弁当をまだ食べていないんだよね。
お母さんに晩ご飯はいらないと伝えて、私は自分の部屋に向かった。
部屋に入り、テーブルの上にお弁当箱を出して、さっそく晩ご飯……のような昼食。
すっかり冷めているけど、腐ってはいないようで安心した。
それにしても、最後のひとつ、黒くて怖い人を追い払う方法だけがわからないままだ。
双子の父親が、美子を生き返らせるために蘇生術を施した……結果、失敗して黒くて怖い人が家族を蝕み始めた。
美子が「赤い人」になった原因のひとつなのかもしれないな。
今日、「カラダ探し」が終わるなら、美子のお墓に行った時に、万が一命の危険があったとしたら、そのまま死んでしまうって事になるんだね。
赤い服を渡しに行って、死ぬなんて嫌だな。
そうならないように気をつけなきゃ。
お弁当を食べながら、いよいよ残された謎が少なくなってきたと、私は感じていた。
こんな時、翔太だったら、ひとつひとつ表にでもまとめてくれるんだろうけどね。
窓の外は真っ暗。
「カラダ探し」の時間まで、あと6時間と少し。