逆転の発想だ。


「赤い人」に見つかる可能性があるから、なるべくなら教室のドアは閉めたいと思うところだけど、逆に全開にしておこうって事か。


かなり危険な気はするけど、西棟を調べる分にはそれでもいいのかな。


「別にいいんじゃねえの? でもよ、それで俺が『赤い人』に見つかったとかどうとか、文句言うんじゃねえぞ」


武司は武司で、まだ「赤い人」と戦うつもりだよ。


勝てないんだから諦めなよ……なんて言ったところで、素直に言う事を聞くはずがないよね。


「不可抗力で見つかってしまったなら、それに文句は言わないわ。ただし、袴田君には図書室と大職員室を調べてもらうけどね。西棟は先に私達が調べるから」


「くっ! き、汚ねえ!!」


「何が汚いっていうの? 『赤い人』だけじゃなく、黒い人まで出てこられちゃ困るのよ」


遥の言う通りだ。


そこまで言われて、反論ができなくなった武司はふてくされたような表情を見せた。


上手くいけば、今日で「カラダ探し」は終わる。


終わらないとするならば、それは私が紛失した幸恵の左胸が見つからなかった時だ。