今の私にできる精一杯の事なのに。


そんな話をしながら大通りに出た私達。
しばらく歩いて、駅に向かう小川君と別れて、3人になった。


「あ、皆に話してなかった……西棟ってさ、放送室から見えるからかなり危険だよね。『昨日』、遥が幸恵に見られて、あんな校内放送が流れたんでしょ?」


注意するように伝えるだけなら、「カラダ探し」が始まってからでもできるからいいんだけどさ。


「かがんで移動していたから大丈夫だと思ったんだけど……教室のドアを開けるでしょ? あの動きで気づかれたんだと思うの」


「赤い人」とは違う。


幸恵は、私達を追い詰めるために、注意深く物の動きまで見てるって事?


「二階はいいとしてよ、一階なんか最悪じゃねえか? 放送室からだったら教室に入ろうとしてるの丸見えだぜ?」


「そうね、いくら注意していても、人間が見つかったら話にならないわ」


だとしたら……どうすればいいのかな。


ドアを開けないで教室の中に入る方法は……。


「だったらこういうのはどう? 生徒玄関のドアが開いたらすぐに、誰かふたりが西棟の教室のドアを開けて回るの。一階と二階に分かれてね。そこにいるとわかるかもしれないけど、特定はできないはず」