大通りに出るまでの路地を歩きながら、あの日記に書かれていた事を思い出す。


「まさかあなた、そこに行ってみようなんて考えてるわけじゃないでしょうね? やめておきなさいよね。この辺りは何十年か前まで、火葬じゃなくて土葬だったみたいだし。幽霊の肉体が眠っている場所なんて、考えただけでも嫌だわ」


「今日は行かないよ。もう暗くなるしね。明日、八代先生に相談してみようと思ってるけどさ」


八代先生なら詳しい場所を知っているだろう。


あんなに「赤い人」について調べていたんだし、それが一番いい。


「私は嫌だからね。行く時はひとりで行きなさいよ」


「呪い」を解くのは手伝ってくれるって言ったのに、肝心なところで拒否するんだから。


あの日記を見て、思いついてしまったんだよね。


赤い服を、どうやって「赤い人」に渡そうかって。


お墓に供えるって手も考えていたけど、土葬なら直接美子の遺体にかけてあげられるかもしれないじゃない?


「お墓を掘り返すなんてバチ当たりもいいとこだわ。美子を怒らせて、ゾンビみたいになった美子に追いかけられればいいのよ」


「そ、そこまで言わなくてもいいじゃない! 私はただ、赤い服をあげたいだけなのにさ」