日記がそこで終わっているのなら、それを知る事はできない。
「これが目的だったんだろ? いったい何がわかったんだよ」
パタンと日記を閉じて、溜め息混じりに武司が尋ねた。
「どうしよう……私が知りたかった事が書かれてないよ。美子が小さな山に埋葬されてるって事くらいかな……収穫は」
「おいおい、そりゃあねぇだろ。こんな気味の悪りぃ所に連れてきてよ」
そんな事言われたってさ……私が知りたい事が確実にあるってわかってたら、他の誰かが見つけてるよ。
もしかしたら、高広達が調べに来た時にこの日記を見つけたかもしれないけど、たいしたことが書かれていないのでそのままにしておいたのかもしれない。
「鍵までかけて保管されていた物がこれだと、他に期待できる物はなさそうね」
この部屋はもう、隅から隅まで調べたし……遥の言う通り、他に重要な物があるとは思えなかった。
書斎を出て、抜け落ちた階段を通って玄関に。
外に出た私達は、空の色に驚いて声を上げる事も忘れてしまっていた。