「えっ」
廃屋には似つかわしくないきれいな書斎。
椅子に座る身なりのいい男性と……隣にいるきれいな女性。
笑顔の男性に微笑んでいるその女性の顔は……遥に似ていた。
「明日香? 何立ち止まってるのよ。早く入りなさい」
その声にハッと我に返った私は、今見ていた光景とはまるで違う、蜘蛛の巣だらけの書斎に驚きの声を上げた。
「あ、あれっ!? い、今のは……何?」
もしかして今のは……高広達が見たっていう幻だったのかな?
でも、聞いていたものとは何か違う。
高広達は、映像が一区切りするまで見せられたって言っていたけど、私は遥の声で引き戻された感じだった。
「何言ってるの? 入口に立たれてたら邪魔なんだけど」
「あ、ご、ごめん」
それにしても、遥に似てたなぁ……。
あれがもしかして美紀と美子のお母さん?
……遥の家はお金持ちだったって言うし、もしかしたら血のつながりがあるとか。
「ね、ねえ遥。くだらない事を聞くけど、遥と小野山家って親戚じゃないよね?」
「やめてよ。本当にくだらないし縁起でもない。どうしてそんな事を聞くのかわからないけど、不愉快だわ」
そう言って、正面に置かれている机に歩いた遥。