危険な場所は小川君が踏み抜いてくれた。
そのおかげで私達は、何の問題もなく二階に上がる事ができたのだ。
二階の廊下の奥……陽の光も届かない暗闇の先に、少し開いたドアがある。
まるで、私達を誘っているように、かすかな光が漏れるドアが。
「高広達が夜にここに来た時は、美子の幽霊がいたらしいよ。『赤い人』じゃない、美子の幽霊が」
そこまで言って、私は首を傾げた。
自分で言ったのに、なんだろう、この違和感は。
美子は学校に囚われているから、出られないはずなのに、どうしてこの家に現れたのかな?
「それは本当に美子なの? もしかすると、この家が見せていただけかもね」
あー、なるほどね。
まるで私の心の中をのぞかれたような返事に、妙に納得してしまった。
幽霊や「呪い」が存在しているくらいだから、この際なんでもありだと思うし、否定する気にもなれない。
「ま、んな事はどうでもいいぜ。調べる物があるならさっさと調べろ」
武司にうながされて、暗い廊下を歩く。
光が漏れるドアの前までやってきて、ゆっくりと開いた私は……。