武司は誤魔化そうとして教えてくれなかったけど、小川君は教えてくれるんじゃないかな。


「えっ!? あ、ああ……別にたいした事はしてないよ。街に出て、ゲームセンターに行って……それで……」


「変な奴らにからまれてた女を助けて、遊んでただけだよな! 小川!」


「そ、そうさ。変な事は何もしてないよ、うん」


小川君が本当の事を言わないように、武司が割り込んできた。


ここまでして隠そうとするなんて、相当怪しいんだけど。


でも、「昨日」の事だし、このふたりしか知らないから確かめようがないんだよね。


「もういいよ。言ってくれなくても。ふたりで人には言えないような事をしてたんでしょ? いやらしいんだ」


「アホかお前はよ。いったい何を想像してんだ」


武司はそう言うけど、男子が隠そうとする事なんてだいたいわかるもん。


それに、武司だしね。


小川君だけじゃできない事をやっていたに違いないよ。







釈然としないまま歩き続けて十数分。


健司の家を通り過ぎて、小野山邸の近くまでやってきた。


「……あれか? 奥に見えるあのボロボロの」


うっそうとした草むらの向こう側、朽ちた門が何者をも侵入させまいとしているかのような不気味な存在感を放っている。