「は、廃屋かぁ……そういうのはちょっと苦手なんだけどな。まあ、袴田君がいれば大丈夫だよね」
武司がいるからって、こればかりはどうにもならないんじゃないかな?
でも、来てくれるなら変な事は言わないでおこう。
それで私ひとりになってしまうのは避けたいから。
「で? 遥は? 手伝ってくれるんだよね?」
さっきそんな事を言ってたし、廃屋なんかには行きたくないなんて言わないでよ?
「あーもう! わかったわよ! 行けばいいんでしょ行けば! 何だってこんな朝っぱらから廃屋なんかに……」
「呪い」を解くのを手伝うと言った事を後悔してるのか、ブツブツと文句を言っている。
何も、今、黒くて怖い人をどうこうしようというわけじゃない。
ささいな事でもいい、追い出す手がかりを見つけられればそれで。
今日が最後の「カラダ探し」。
そう思って行動するしかないのだ。
学校を出た私達は、先生に連れていってもらった道を歩いていた。
健司の家から近い、あの廃屋に向かって。
「ねぇねぇ小川君、『昨日』武司と何をしていたの? どうして数時間でそんなに堂々とできるようになったのか知りたいんだ」