「それは難しいんじゃないかな? ほら、『赤い人』に見つからないようにって簡単に言うけどさ、それができたら僕達だって死なないわけだから」
「うん、そうだよね。見つからないでって言われて見つからないなら、一日で『カラダ探し』が終われるはずだしね」
小川君も日菜子も、それは難しいと感じているのだろう。
だけど、何も絶対に見つからないようにって言ってるわけじゃない。
「極力……ね。見つかったら仕方がないし、黒くて怖い人に憑かれた時にだまされないように、心構えだけしておきたいと思うんだけど」
私の提案に反対する人はいなかった。
「だけど、だまされないようにって、どうするの? まさか皆バラバラに動くとか?」
合言葉を……なんて考えていたけど、調べる場所が限られているならそれでもいいかもしれない。
確実に今日の「カラダ探し」で終わるような量だし、誰とも接触しないと決めれば、一緒にいようとする人が黒くて怖い人なのだから。
「日菜子の言う事も一理あるね。もちろん、『赤い人』が怒ってからでいいんだけど。叫び声を上げるから怒ったかどうかはわかるでしょ?」