私がそう言った途端、皆の顔色が変わった。
ただの冗談だと思っていたのだろうけれど、中島君の援護があって少しは信じてくれているかな。
「『一昨日』は、日菜子と小川君になりすまして、最後はトイレで無理やり振り返らされたし、『昨日』なんかは3人が『赤い人』に襲われそうだったから、助けるために振り返って『赤い人』を呼び寄せたのにさ、それも黒くて怖い人にだまされてたんだよ」
行き着く先は死。
私達がカラダを探す邪魔をして、そして殺す。
仲間を助けるという想いを利用して殺そうとする黒くて怖い人は、厄介な存在でしかなかった。
「明日香が言ってる事が本当だとするなら……袴田君、あなたは『赤い人』と出会わないようにしないとダメね」
私が言うより早く、結論を言った遥。
もうそれしかないと私も思うけど、面白くないのは武司。
「ああ!? 負けっぱなしで終われってのかよ! ふざけんじゃねぇ、何回もあの化け物にはぶっ殺されてんだ。5回は殺してやらねぇと気がすまねぇよ!」
負けるとわかってて、どうして戦おうとするんだろう。
本来なら「絶対にダメ!」って言うべきなんだろうけど、武司は自ら進んで「赤い人」の所には行っていない。
私を助けるため、遥を助けるために、「赤い人」と戦っているだけなのだから。