話す事は決まっているんだけど、どこまでさかのぼって話せばいいのか。


いっその事、皆に美子の「呪い」を解く事を協力してもらおうかとも思ったけど……小野山家の事を詳しく知らない日菜子達に頼むのは厳しいかな。


「おかしな事? ものすごく順調に、早く終わりそうなんだけど、何がおかしいって言うの?」


やっと話したかと言わんばかりに、遥が尋ねた。


「えっとね、『一昨日』武司が『赤い人』と戦ったんだけど、その時にどうやら怒らせたみたいなのね」


「ああ、しがみつこうとするからボッコボコにしてたら、いきなり大声上げやがってよ、それからは本気で殺そうと襲ってきやがった」


殺されたのが悔しかったのだろう。


右の拳で左の掌をパンパンと打ち、顔をしかめる。


「……『昨日』も戦ったんじゃないの? 慌ててたから袴田君に任せてしまったけど」


「そう、実はその現場を踊り場で見てたんだけど、『赤い人』が武司を見た瞬間、突然怒り出したんだよ。前日に怒ったのを思い出したかのようにね」


「それって……つまり、袴田君を見ただけで怒り狂うって事? 出会ったら何の猶予もなく殺されるなんて笑えないわね」