遥にまた嫌味を言われる事を覚悟して。


「言われるまでもないわ。3人でそこの工房を調べるよ。隅々までしっかり調べなさい」


階段を下りて右の突き当たり。


私がやった時は、ここの女子トイレのタンクの中にあったけど、今回はないんだろうな。


何にしても、全部の部屋を調べなきゃならないんだけど。


トイレを通り過ぎ、工房の前までやってきた私達は、そのドアを開けて中に入った。


工房と言うだけあって、独特の臭いが鼻を突く。


「相変わらずすごいわね、溶接の臭いが。じゃあ、私は職員室を調べるから、ふたりは棚を調べなさい」


「えーっ、職員室の方が楽そうだよ。三神さんズルい!」


携帯電話のカメラの照明で棚を照らした日菜子が、遥に文句を言いだした。


私でさえ苦手意識があって文句が言えないのに……日菜子はすごい度胸だ。


「ズルいって何よ。嫌ならあなたが職員室を調べなさい。私はどっちでも構わないから」


そして遥が折れた……。