「どんな開き直り方!?」
高広と武司の決定的な違いは、こういう部分だよ。
高広なら耳まで真っ赤にして照れるような事を、武司は平気でやってしまうから。
それは、女子にとっては歓迎できない事が多いんだけど。
屋上に出ると、そこには遥がすでにいて、柵にもたれて登校する生徒達を眺めていた。
その横顔は憂いを帯びて、ドキッとするような美しささえ感じる。
「おう、三神。あれからどうなったんだよ。無事に逃げたか? あぁ?」
思わず見惚れていた私を押しのけて、武司が遥に歩み寄る。
「え? ああ、あなた達。そう言えば姿が見えたわ。もう来たのね」
武司の質問に答えずに、ハッと我に返ったような表情を見せた遥。
そんな遥に、武司は不機嫌そう。
「おいおい、無視かよ。どうなったって聞いてんだよ」
「日菜子がカラダを見つけたわ。幸恵の脚をね。だから、あとは右と左の胸、ふたつだけ。東棟は全部調べ終わったから、西棟の二階と一階、図書室と大職員室、生徒玄関を調べたら終わるわね」
左胸じゃなかったんだ……。
カラダが見つかった事はうれしいけど、私が紛失した左胸が見つかっていないというのは辛い。
「どこかのおバカさんが、屋上で振り返ってくれてよかったわ。そうでなければ、日菜子はカラダを納める前に殺されていたかもしれないから」