頼む人が違えば、頼み方も校舎の使い方も変わる。
ここに壁がない人もいれば、ある人もいるって事なのかな。
入口の横を通って、南側に出て、調べてみても何もなかった。
まあ、屋上にある可能性なんて滅多にないだろうし。
フウッと溜め息を吐き、東棟の三階を見た私は……誰かが真ん中の部屋にいる事に気づいた。
あれは……日菜子?
遥と小川君もいるのかな?
だけど……何か様子がおかしい。
遥と日菜子の前に、小川君が立って、入口の方を向いている。
三人とも慌てふためいていて、パニック状態に陥っているように見える。
も、もしかして……「赤い人」に見つかったの!?
それも、普通の状態の「赤い人」じゃない。
怒り狂って、見た人すべてを殺す状態で。
だとするとこんな事をしていられない。
遠くにいる私ひとりと、東棟を今、まさに調べている3人の命では、どちらを捨てるべきか、答えは考えるまでもない。
一瞬でそう考えた私は、3人を助けるために、急いでその場で振り返った。
「ねえ、赤いのちょうだい」
その場には「赤い人」だけ。
今まで話していた小川君の偽者、黒くて怖い人はいなくて、私の考えは間違っていなかったという事がわかった。
これでいい。