いつ行動に移されるかわからない、時限爆弾のような存在だ。
変に話しかけないでも怪しまれそうだし、深く突っ込んだ話をしても気づかれそうで。
当たり障りのない普通の会話で、このままカラダを探すしかないのかな。
「ナ、ナンパなんて。そんなの僕なんかができるはずないよ。デブだからって、食事してても、歩いていても、花火をしてるだけでもキモいって言われるんだよ? じゃあ、何をすればキモくないのか教えてほしいよ!」
すごく……すごく小川君が言いそうなネガティブ発言なんだけど。
それが逆に怪しいんだよね。
もう、これは小川君ではなくて黒くて怖い人だってわかっているけど、一緒にいなきゃならないのが辛い。
グルッと、屋上の北で歩きながら方向を変えて、次は南側へ向かう。
月明かりが屋上を照らしてくれていて、ここからでも何もないというのがわかるんだけど。
それでも、行ってみないとわからないんだよね。
念のために、前回降りた見えない壁の切れ目を調べてみたけど……今回はないようだ。
誰かの世界か……。
遥が言っていた事が、何となくわかるような気がするよ。