振り返らないように、横歩きで上りの階段にスライドして、私は階段に足を乗せた。
何か……違和感があるのは気のせいかな。
それが何なのかはわからないんだけど、どうもそんな気がしてならない。
階段を上った私は、屋上に出るための引き戸を開けた。
息詰まる校舎の空気から解放されて、心底安心するよ。
たとえここがどこであろうと外には変わりないし、一瞬でも「カラダ探し」を忘れられそうな気がするから。
「やっぱりいいね、外はさ。小川君も気分転換になるんじゃない?」
「う、うん。何か気分がスッキリするよ」
そうは言っても、ここでもカラダを探さなきゃダメなんだけどね。
隠すような所は何もない。
だだっ広い、見回せば調べるのが終わりそうな空間。
歩きだした私は、放送室から見られないように、柵に沿ってカラダが置かれていないか見ていた。
「そう言えばさ、昼間武司と何してたの? 小川君がこんなに……」
そこまで言って、私は妙な違和感の正体が判明したような感じがした。
「こ、こんなに? 僕、いつもと違うかな?」
……違う。
いつも通りで、それが当たり前だと思っていたけど、だからこそ違うというのがわかる。