なんて考えるのは飛躍しすぎかな。
でも、そんなような気がするんだ。
西棟三階の廊下を移動して、階段に差しかかった頃、二階からあの咆哮が聞こえた。
「アアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
ここから遠ざかっているようなその声に、私は、武司が死んだのだという事を感じ取った。
西棟から離れている……「昨日」の私の時と同じだ。
「赤い人」は、最初のターゲットがどこに移動したかを覚えていて、その方向に向かっているんだ。
見つからないといいんだけど。
そう祈りながら階段を下りようとした時、私はふと上に行く階段が気になった。
そう言えば……屋上は調べたのかな?
時間的に考えて、まだ調べてない可能性は高いな。
「予定変更。先に屋上を調べよう」
「えっ? み、皆と合流するんじゃないの?」
「それもいいんだけどさ、調べてない場所があるならそれを優先させないとね。今なら屋上は安全だと思うし、調べるなら今しかないよ。それに、『赤い人』は東棟に行ったみたいだしね」