また私をだましたの?
「大丈夫だ」って言葉が聞きたかっただけなのに、まさか私に確認させただけだなんて。
「で、今なら普通に通り過ぎても大丈夫なの? 確認したんでしょ?」
「だ、大丈夫だよ」
私がそう呟くと、スッと立ち上がり、引き戸の前を走って通り過ぎた遥。
そうだよね、私は仲間だと思ってたけど、遥にとっては私なんて利用価値があるから一緒にいるだけなんだよね。
そんな風には考えたくはないけど、この気持ちを誤魔化すにはそう思うしかなかった。
まあ、日菜子からしてみれば、これくらいたいした事ではないんだろうけど。
別に自分が殺されたわけでも、家族が殺されたわけでもないから。
私も立ち上がり、一番向こうの教室へと走った。
今、遥の事を怒ったって仕方がないから。
もう、西棟の三階は調べ終わる。
ここまで来れば、どれだけだまされていても関係ない。
カラダを見つけて、「カラダ探し」を終わらせる。
私にとって、この「カラダ探し」は美子の「呪い」を解くための準備にすぎない。
大切なのはこれを終わらせた後。
誰が協力してくれなくても構わない。
私ひとりでだって、なんとかするから。
強い気持ちを持って飛び込んだ一番南側の教室。
振り返る事ができないのは痛いけど、調べる分には何の影響もない。