ドアの前まで移動した私は、少し考えた。


もし、今ドアを開けて、東棟にいる「赤い人」に見つかったらどうしよう。


誰もいないのに、突然ドアが開いたらおかしいと思うはずだし、そんな事も考えずにこちらに向かってくるかもしれない。


……まあ、今までそれで見つかった事はないし、大丈夫だとは思うけど。


カラカラと、人ひとりが通れるくらいの幅だけ開けて、私は教室の中に入った。


室内を見回すと、遥と日菜子の姿。


仲良く……とは言えない様子だけど、険悪でもなさそうな。


「カラダ探し」に影響がないなら構わないんだけどさ。


「体育館にはなかったよ。それで東棟の三階に移動したら『赤い人』が現れるんだもん、勘弁してほしいよ」


「袴田君は一緒じゃないのね。まだ東棟にいるの?」


「うん、両端の教室から調べてたし、まだいると思う。声もかけられなかったよ、ドア一枚挟んだ廊下に現れるんだから」


この、まったく予想できない動きが怖い。


いくら気をつけて行動していても、突然目の前に現れたらどうしようもないから。