遥達がもうそこにいるのなら合流もできるし、情報も聞けるから。


だけど……まただまされるかもしれない。


ドアを開けて廊下で待っているだけで、私の方を見ていたら。


こればかりは、運を天に任せるしかないかな。


階段は隣だし、万が一失敗しても武司が安全になる。


できれば、どちらも助かるのがいいんだけど、この際贅沢は言ってられない。


ゆっくりと、音を立てないように靴を脱いだ私は、それを手に取り、そっとドアを開けた。


深呼吸をひとつ、聞こえないでと祈りながら、教室を飛び出した。








冷たくて重い。









脚に無数の手がからみつくような恐怖を感じる。


それでも、すぐ隣にある階段に到着して、すばやく階段を駆け下りた。


歌も笑い声も聞こえない。


追ってきてはいないようで、ようやく安堵する事ができた。


東棟の二階に下りて、購買の前の廊下を西棟に向かって走る。


大職員室の前を通り、西棟に入ったその時、私は何かにぶつかり、廊下に倒れ込んでしまったのだ。