よりによってこんな場所に!?
これじゃあ、調べるとかいう以前に、動く事もできやしない。
ドア越しとは言え、背中に感じる強烈な存在感。
もしも、「赤い人」が教室の方を向けば、ドアの小窓から私の姿は捉えられて、確実に襲われてしまう。
かと言って、見えないようにかがむ事もできない。
制服がさすれる音でさえも気づかれてしまいそうなこの状況では。
「し~ろい ふ~くもあかくする~」
見つからないように祈る事しかできない。
お願い、こっちを見ないでと、ギュッと目を閉じて、ピクリとも身体を動かせない状況。
全身の皮膚の表面に、針が当てられているよう。
動いてしまえばそれが刺さってしまいそうだ。
「まっかにまっかにそめあげて~」
早く行ってほしいのに、早く隠れたいのに。
声が動いてくれない!
どこに行くか考えているのか、それとも私がここにいる事を知って動かないのか。
この緊張感に耐えきれない。
もう、見つかってもいいから、かがんで身を隠したいけど……そのあせりは一番ダメなんだ。
よく考えれば、見つかっているならとっくに襲われているはずだ。
だから大丈夫……なんて思えないよ。