「南側と北側で別れようか。逃げ場がない南側を調べてる時に『赤い人』が来たら、ふたりともヤバいしさ」


「だったら俺が行ってやる。追い詰められたら、テメェより俺の方が生き残る確率が高いだろうからな」


武司……私の事を考えて、あえて危険な場所に行ってくれるんだね……なんて、思うわけないでしょ。


「まさか、追い詰められたら戦うのは不可抗力だなんて思ってないでしょうね? わかってる? 逃げる事を考えるんだよ!?」


「お、思ってねぇよ……」


少し口ごもったところを見ると、図星だったようだ。


どうしてそんなに戦いたいかな。


生きて残りの部屋を調べた方が、何倍もいいのに。


「まあいいや、だったら南側をお願い。私は一番北側から調べるから、真ん中の教室で合流しよ」


「俺に命令すんじゃねえよ。落ち合うまでに化け物が来ても死ぬんじゃねえぞ」


そう言って、武司は南側に歩いていった。


もう、素直じゃないんだから。


わかったって言えば、ひと言ですむのにさ。


校内放送がいつ流れるかわからない状態で、廊下をうろつくのは避けたい。