そこんとこ、武司はわかってるのかな。
二階の倉庫、そしてステージ側へと移動して、体育館用の放送室、ステージを調べて、何もなかった事にガックリと肩を落とした。
ないかもしれないという可能性がないわけじゃなかったけど……結果的に早く切り上げようと言った武司が正しかった事になるのだから。
「やっぱりな。ねぇと思ったんだよな。オラ、落ち込んでねぇで、さっさと次行くぞ」
溜め息を吐く私を励ましているのか、それとも勝ち誇っているのか、バンッと背中を叩いて移動をうながした。
「う、うん……次は東棟の三階だね」
落ち込んでなんていられないのに、何してるんだろ。
ガッカリするのは東棟と西棟を調べた後、カラダが全部揃わない時でいいのに。
武司の後をついて、体育館を出た私は妙な感覚に包まれていた。
妙……と、言うよりは、ちょっとした不安と言った方がいいのかな。
「静かな夜だぜ。さっき化け物が近くにいたとは思えねぇ」
武司のその言葉で、私の不安が何なのかがわかった。
「そっか……『赤い人』がどこにいるかわからないんだ。校内放送も流れてないし」