それしか考えられないんだけど、その可能性があるとすれば、見つかったのは中島君という事になる。
「あの野郎も運がねえな、一緒に来て、結局追いかけられたんじゃな」
遥達と私達とでは距離がありすぎるから、その中の誰かが見つかったとは思えない。
となると、同じ体育館にいた中島君が見つかったと考えるのが自然だろう。
「でも、おかげで助かったよ。『赤い人』見てないよね?」
「当たり前だ。戦うのは最後のひとりになったらにしてやる」
いや、できればカラダを探してほしいんだけど。
なんて言っても、武司だけ残ったとしたら、勝てない戦いを挑むんだろうな。
「まあいいや。今のうちに調べようよ。中島君が戻ってこないとは言いきれないし」
「そんな事したら、ぶっ殺してやんぜ」
調べるのが中断していた棚を再び調べ始めて、そんな事を話していた。
なんか、この感覚は嫌だな。
人が死にそうになっているのに、何もできないからって見捨てて、作業を続けるなんてさ。
「それより武司はさ、どうしてそんなに『赤い人』と戦いたいわけ?」
どうしても腑に落ちないんだよね。