足音を立てないように……耳を澄まして。


校内放送に頼らなくても、音で「赤い人」の場所がわかれば何とかなる。


そうやって私達は「カラダ探し」を終わらせたんだから。


強い気持ちを持って、二階の廊下を踏みしめた。


「何とかして工業棟に行きたいところだけど……生産棟にした方がいいかもしれないわね」


「う、うん。無理はしない方がいいよ、絶対に」


日菜子も生産棟止まりに賛成して、私達は再び歩きだした。


そして……教室をひとつ越えて、渡り廊下に差しかかった時だった。












「キャハハハハハッ!!」











廊下に響き渡るあの笑い声が、どこからか聞こえてきたのだ。


「な、何!? い、いや……」


「赤い人」の声に驚き、悲鳴を上げそうになった日菜子の口を慌ててふさいだ私は、壁に背をつけて震える事しかできなかった。


遥もまた、再び「赤い人」の恐怖に直面してしまった事で、壁際で小さくなって震えていた。













「キャハハハハハッ!!」











笑い声は……徐々に遠ざかっていく。