「赤い人」がこっちに来なければいい話なんだけど……。













「……っかにそめあげて~」













廊下の方から聞こえたその声が、私の甘い考えを打ち砕いた。


まずい……やっぱり来ちゃったよ!


「武司、早く倉庫に!」


「アホかお前は、わざわざ追い詰められてどうすんだよ!」


確かに武司の言う通りかもしれないけど、もしもやり過ごせたならすぐに調べられるようにしたい。


ダメな時は何をしてもダメなんだからさ。


「いいから! もしもどっちかが見つかっても、残った人は倉庫を調べるんだよ」


そう言って倉庫へと走った私は、金属製の扉を少しだけ開けて中に滑り込んだ。


人ひとりが通れるくらいの幅だったから、音はあまり出なかった。


不幸中の唯一の幸いとでも言うべきか。


武司も倉庫の中に入り、扉を閉める。