そう言いながら調べた更衣室。
サッと見回した時にそうじゃないかと思ったけど、ここにカラダはなかった。
でも、なかったからと言って落ち込んではいられない。
「次は隣の倉庫だね。結構ごちゃごちゃしてるから見落としがないようにしないと」
一応片づけられているとは言え、それでも物が多いから、くまなく調べるのは大変なんだよね。
更衣室から出て、体育館の入口に目をやった私は、とんでもない物を見てしまった。
扉が……開いてる!?
え、嘘でしょ?
なんで開いてるの? 体育館に入って誰も閉めなかったの?
「た、武司、扉を閉めてないの!?」
「ああ? 閉めろって言ってねぇだろ。開いてる方が襲われた時に逃げやすいんじゃねぇのか?」
そんなわけないじゃない!
「赤い人」が入ってくる時に、扉は開けられるし、逃げるならそこから逃げられる。
「見つかっちゃうでしょ!? いつも閉まってる扉が開いてたら、誰だってそこに人がいると思うよ!」
「なら、早く言え。俺のせいにしてんじゃねぇ。で? 閉めるのかよ?」
考えていても仕方がない。
こんな事で時間を使うなんてもったいない。
「いや、やめとこう。扉が閉まる音が『赤い人』に聞こえるかもしれないし、そうなったら私達が見つかっちゃうからさ」