フウッと溜め息を吐いて、私は携帯電話の照明を棚に向けた。













『赤い人が、生徒……われまし……さん、気をつけ……さい』













校内放送が聞こえたのは、棚を調べ始めてすぐの事だった。


生徒? ああ、生徒玄関かな。


だとすると、体育館から近いな。


もしも、美紀が言っていた匂いが、まだ私についているとしたら、ここにやってくる可能性は高いよね。


そうならない事を祈るしかない。


「何にもねぇな、もっと簡単に見つける方法はねぇのかよ」


「そんのがあったら私が教えてほしいよ。話してないで手を動かして」


「俺が動いてねぇみたいな言い方じゃねぇか。テメェ、マジで殴るぞ」


武司にこんな事を言えるのは、学校中探してもそうはいない。


だから、言われ慣れてないせいもあるのだろう。


ささいな事でも怒ってしまうのだ。


「そうは言ってないでしょ。『赤い人』が来るまでに、調べられるだけ調べたいの。こっちに来る可能性があるんだからさ」