体育館に到着して、重い金属製の扉を開ける。


その中に入ると、黒く、よどんだ空気と言えばいいのか、何やら重々しい空気が漂っていた。


「何これ……こんなに嫌な空気だったかな、体育館って」


以前感じた空気とはどこか違う。


だけど、結局は探さなきゃならないのだから、どんな空気だろうと関係ないんだけどね。


「お、俺はステージ側を調べてくるよ。こっちはふたりに任せていいだろ?」


そう言いながら、答えも待たずに、逃げるように走りだした中島君。


小川君と立場が逆転したような気がするなぁ。


「何だあいつは。小川と違って、あのゴミクズは使い物にならねぇな」


「だから、小川君に何したのよ? そんなに言われると気になるじゃない」


体育館の一番入口側にある更衣室に入り、私は執拗に尋ねた。


「うっせぇな、ナンパだよナンパ! よその学校のゴミにからまれてた女を助けて、楽しく遊んでたんだよ!」


またまた……冗談ばっかり。


武司は私に教えてくれるつもりがないんだ。


いいもんね、だったら小川君に聞くから。


「はいはい、真面目に言ってくれないならいいよ。さっさと調べてしまおうよ」