武司が怒らない!


私には命令するなとか言ってたのに!


ふたりに何があったというのだろうか。


「じゃ、じゃあさっき言った作戦で」


不思議に思いながらそう呟いた時……生徒玄関のドアは開かれた。









「カラダ探し」が始まる。


「生きてたら、大職員室で会おうね。もちろん、二階を調べてから」


遥と日菜子と小川君、3人にそう言って、私は武司と校舎の中に足を踏み入れた。


ひんやりとした、相変わらず重くてするどい空気の中、生徒玄関を通って西側、体育館の方に向かう。


「あ、あのさ! やっぱり俺も一緒に行くよ!」


そんな私達を追いかけてきたのは中島君。


本当に怖いのは武司じゃないとわかったのかな。


「ゴミクズが……テメェが追われても助けねぇからな!」


いきなりの牽制球。


すぐに手を出さないところを見ると、武司も小川君と一緒に成長したんだろうな。


「それよりさ、小川君を鍛えるって何したの? たった数時間であんなに堂々としちゃって」


東棟の廊下を南へと走っている途中で、武司に尋ねたけど……ニヤリと笑うだけだった。