悲鳴を上げる事もできずに、怖い時に起こる独特の反射で身体が震え、逃げる事もできなかった。
考える事はひとつだけ。
幸恵が来る時間じゃないはずなのに……どうして!?
ギュッと目を閉じて、恐る恐る開いた時には、すでにそこに幸恵の姿はなかった。
「な、何なのよ何なのよ! まだ来る時間じゃないでしょ!?」
予想外の事態に驚き、浴室を出た私は、バスタオルで身体を包んで文句を言っていた。
昨日よりも3時間近くも早い。
数分のラグなら仕方ないとしても、こんなに時間差があるなら、心構えができないよ。
やっぱりこれって、美紀が追い出されたって事と関係があるのかな。
追い出せないものだとばかり思っていたけど、もしかすると前回の「カラダ探し」で美紀を棺桶に押し込んだ事で、何か障害が発生してしまったとか。
考えてもわからない。
まあ、幸恵が頼みに来たって事は、今日はもう大丈夫。
気を取り直して身体を拭いて、部屋着に着替えた私は頭にタオルを巻いて自分の部屋に戻った。
怒り、恐怖、不安……いろんな感情を、どこにぶつければいいのかわからず、日菜子に聞いてみようと。
携帯電話を手に取り、すぐに日菜子に電話をかける。